このページでは、ピアボーナスとはどのようなシステムなのか、特徴や導入事例、運用のコツなどを詳しく解説しています。
ピアボーナスとは、「peer(仲間)」と「bonus(報酬)」が融合された造語であり、社内の仲間である社員同士が互いに少額の「報酬」を贈り合える制度です。経営者や上司からの評価にもとづいた上から下へのボーナスでなく、社員同士による水平方向のボーナスであり、これまでは評価されづらかった社員の努力やがんばり、成果が評価されやすい環境を構築します。
また、ピアボーナスで得られた報酬は現金として賞与へ加算されたり、企業内通貨やポイントとして活用できたりと、企業ごとに様々な活用法を考えられる点も特徴です。
ピアボーナスを導入する目的には、単に隠れたヒーローや縁の下の力持ちを見つけやすくするだけでなく、社内コミュニケーションを活性化して、それぞれの社員がきちんと互いを認め合える企業風土の醸成も含まれます。
また、大規模な給与アップや賞与の増額が難しい企業であっても、少額のピアボーナスであれば導入できる可能性がある点も重要です。これにより、新しい福利厚生として社員の労働意欲を向上させたり、会社に対するエンゲージメントを高められたりと、様々なメリットが期待されます。
ピアボーナスは基本的に、社員にとって「積極的に利用すればするほどメリットのある制度」といえます。また、ピアボーナスにおいて重要な点は、社員が他の社員に対してボーナスを贈るということです。
自分で自分に報酬を与えられるのでなく、あくまでも他者へ報酬を与えられる制度であるピアボーナスでは、相互に評価し合ってボーナスを贈り合うことが大切になるため、積極的なコミュニケーションが促進されます。
自分が行っていることをきちんと評価されたり、相手から感謝されたりすることで、自尊心や自己肯定感を高められることも魅力です。
事業規模が大きくなったり、社員が増えたりすれば、どうしても管理者や上司の目が届かなくなったり、評価の漏れが生じたりする可能性も高まります。しかし、実際に職場で協力関係にある社員同士によって、見逃されてきた個々の努力や魅力を再評価されれば、やりがいや達成感を得やすい環境が醸成されます。
他者を評価するためには、日常的に他者を意識することが必要です。
ピアボーナスによって他人に対する関心が高まったり、他人の行動を適切に認め合う企業風土が育っていけば、社員同士の信頼関係が強化されるだけでなく、接客業務やクライアントとの交渉といった業務でもプラスの影響が期待できます。
自分本位になるのでなく、他者の存在を尊重して行動に敬意を払う習慣を獲得することで、本質的な人間力を育成することが可能です。
社員同士の信頼関係や協力関係が強化され、個々の労働意欲や人間力が高まり、さらに会社に対する愛着や信頼度も育っていけば、結果的に組織全体の成長へつながります。
ピアボーナスを導入することで、費用的な負担が増加することは事実ですが、長い目で見れば支出以上の増益が実現するかも知れません。そのため、ピアボーナスは組織にとって新しい福利厚生というだけでなく、会社全体に対する自己投資と考えることもできるでしょう。
一説によれば、ピアボーナスを最初に導入したのは国際的な企業である「Google」だとされています。
多種多様な人材が相互に協和しながら、あらゆる分野においてイノベーションを目指すGoogleでは、常に適切な組織マネジメントや従業員の管理が重視されており、その中でも「心理的安全性」が重視されています。
Googleにおける「心理的安全性」は、個人がチームに対して抱く信頼感と言い換えられ、Googleの研究によると心理的安全性の高いチームのメンバーほど、失敗を恐れず新しいことへチャレンジする傾向があるそうです。
そのため、Googleでは心理的安全性を高めるために、社員同士のコミュニケーションを活性化して信頼関係を強化しながら、新しいチャレンジが成功した際には適切に評価できる制度として、ピアボーナスを導入しています。
Googleのピアボーナスを成功例として、現在では国内外の企業で独自の企業風土やニーズに合わせたピアボーナスが導入されています。
また、各企業のピアボーナス制度を支援するサービスを提供する企業も増えており、日本でも2017年に誕生した初の国産ピアボーナスサービス「Unipos」を始め、複数のピアボーナスサービスが運用されている点も見逃せません。
そのため、これからピアボーナスを導入しようとしている企業は、様々なピアボーナスサービスやピアボーナスシステムの特徴を比較検討し、自社ニーズにマッチしたものを選択することが重要です。
ピアボーナスの有効性は、利用しているユーザーの数や利用頻度に比例します。そのため、まずはピアボーナスについて社内で周知徹底し、それぞれの社員にピアボーナスの意義や目的をきちんと伝えることが欠かせません。
また、社内で影響力を持つ社員へ、ピアボーナスの積極的な活用をリードしてもらうといった工夫もポイントです。
ピアボーナスでは、ボーナスを現金化したり電子マネーとして利用したりできるものから、ポイントとして景品やサービスへ交換するもの、さらに定期賞与に増額する形で反映させるものまで、様々な種類や形態が存在します。
そのため、どのような報酬制度が社員にとって魅力的に映るか、社員のニーズを見極めることも大切です。
ピアボーナスサービスの中には無料で導入できたり、期間限定のトライアルを活用できたりと、試験的にピアボーナスを使えるものもあります。そのため、いきなり本格導入を行うのでなく、まずは実験的にピアボーナスを導入して、社員の反応を確かめることも重要です。
2021年1月現在、全14サービスあるピアボーナスの中から、無料のトライアル期間があるツールをピックアップ。3つのピアボーナスをトライアル期間の長さと、導入した場合の1か月あたりの料金(50名の場合)で比較しています。