システム上の共通点もあるピアボーナスとサンクスカードですが、両者の間には明確な違いもあります。ここではピアボーナスとサンクスカードの違いや、代表的なサンクスカードツールについて、まとめて解説しています。
サンクスカードとは、社員がお互いに感謝の気持ちや賞賛の思いを伝えるために贈り合うカードです。サンクスカードには手書きのメッセージカードで運用されている場合から、専用ツールやアプリなどを利用しする電子版サンクスカードまで、色々な種類があります。
サンクスカードは、社員同士のコミュニケーションを活性化して信頼関係の構築を促し、また個々人の自己肯定感の向上に役立つシステムとして、多くの企業で導入が進んでいます。
サンクスカードとピアボーナスの共通点は、上司や経営者が部下や従業員を評価するのでなく、社員同士が互いに評価し合ったり、感謝を伝え合ったりできるということです。
例えばなかなか上司に実力を認められていない人であっても、同僚がきちんと成果を評価してくれれば自己肯定感を高めやすくなり、また上司も自分が気づいていなかった部下の魅力を再認識できたりと、コミュニケーション促進だけでなく人材評価の面でも価値があります。
ピアボーナスは、社員同士が互いの行動や成果などを評価し合って、それに相応しいと考えられる報酬を贈り合うシステムです。
一方、サンクスカードは自分が他の誰かから何かをしてもらったり、誰かが何かをしている姿に感銘を受けたりした時に、感謝の気持ちや賞賛の気持ちを能動的に送るためのシステムです。
報酬の有無だけにとらわれるのでなく、何よりもお互いに気持ちを伝え合える風土を作ることが、サンクスカードの特徴といえるでしょう。
サンクスカードは、社員同士のコミュニケーションをサポートするためのツールです。
面と向かって相手に「ありがとう」や「おめでとう」という言葉を伝えることが気恥ずかしくても、すでにサンクスカードといったシステムが導入されていれば、それを日常的な行為として受け入れやすくなります。
また、他部署のメンバーや遠方にいる社員といった、普段は直接に会えない相手にも、システムを通して気持ちを伝えられる点は見逃せません。
サンクスカードとピアボーナスは、それぞれの社員が能動的に他の社員へ「ありがとう」を伝えたり、他者の成果を評価したりするといった点において、共通しているシステムといえます。
しかし、サンクスカードの主目的はまず社内のコミュニケーションを活性化して、社員が自分の気持ちを積極的にアピールできる企業文化を育てることであり、ピアボーナスはそうして完成したマインドへ「報酬(ボーナス)」の概念を加えたものといえるでしょう。
Sharin 株式会社が提供している「Synergy HR」は、サンクスカードを贈り合う「サンクスツール」や各社員のプロフィール管理機能、アンケート機能といった、様々なツール・サービスを組み合わせて利用できる、人事クラウドサービスです。
社員のプロフィール管理機能をベースとして、サンクスツールや評価ツール、面談ツールなどを必要に応じて追加し、それぞれの企業ニーズにマッチした人事サービスを構築することができます。
サンクスカードツール「thanks!」は、株式会社アルトが提供するチームワーク改革ツールです。株式会社アルトの理念である、世界中で「ありがとう」を心のエネルギーへ昇華させるというコンセプトにもとづいて、社内サンクスカードをデジタル化し、正社員や非正規社員にかかわらず、従業員同士の「ありがとうコミュニケーション」を活性化させます。
また、「ありがとう」をポイント化する、ピアボーナスとしての機能も備えています。
株式会社Take Actionが提供しているサンクスカードツール「THANKS GIFT」は、人と人の間で交わされる「感謝」をきっかけとして、各従業員の成果や会社への貢献度を視覚化するクラウドサービスです。
サービス開始から2019年までに500社以上で導入され、年間平均でおよそ500万枚の「ありがとうカード」が交換されています。
また、社内SNSとしても活用されており、社内ポイントや景品交換機能も備えています。
中小企業のビジネス戦略をトータルでサポートする「サイボウズOffice」では、カスタムアプリとして「サンクスカード」が提供されており、社員同士で感謝の気持ちを伝え合うことが可能です。
また、単に気持ちを贈り合うだけでなく、集計機能によって誰が数多くのカードを受け取っているか確認することで、社内MVPを見つけることにも役立ちます。
サイボウズOffice(プレミアムコース)の利用者であれば無料で使える点も重要です。
株式会社コミュニティオが提供している「TeamSuite」は、サンクスカードによるコミュニケーション活性をきっかけとして、社員同士の信頼関係を強化し、さらに社内の隠れたキーマンを発見しやすくする、社内コラボレーションツールです。
パソコンやスマホなど、様々なデバイスを使ってサンクスカードを送り合える上、Microsoft TeamsやSlackといったビジネスツールとも連携可能なので、既存システムに導入しやすい点はメリットでしょう。
兵庫県神戸市に拠点を置く株式会社NSKKは、2002年から名刺大の紙に「ありがとう」の気持ちを書いて贈り合う「サンクスカード」の文化をスタートさせており、国内企業としてサンクスカードを導入したパイオニアとも言われています。
NSKKではデジタルベースの機能性を取り入れながらも、「手書き」にこだわったサンクスカードアプリを運用しており、電子版サンクスカードとして手書きのメッセージを送れることが特徴です。
ありがとうファーム株式会社が運営する「ありがとうファーム」は、クラウド型のサンクスカードツールです。インターネット環境とWEBブラウザを利用できるデバイスがあれば、場所や時間を問わず活用でき、利用者数の上限もありません。そのため、多くの社員や複数店舗を構える大規模事業者であってもサンクスカードを導入しやすい点は特徴です。セキュリティ対策にも配慮されており、活用ノウハウを提供してもらえることも魅力です。
株式会社Phone Appliが提供しているサンクスカードツール「PHONE APPLI THANKS」は、クラウド電話帳サービス「PHONE APPLI PEOPLE for Salesforce」で結ばれたユーザー間で、感謝や称賛を伝えるメッセージカードを送り合えます。
また、サンクスカードにはボーナスや福利厚生サービスとして還元できるサンクスポイントも添えることが可能で、ポイントの使い道をそれぞれのユーザーが自由に選べることは重要です。
2021年1月現在、全14サービスあるピアボーナスの中から、無料のトライアル期間があるツールをピックアップ。3つのピアボーナスをトライアル期間の長さと、導入した場合の1か月あたりの料金(50名の場合)で比較しています。