三菱UFJフィナンシャルグループであるカブドットコム証券株式会社は、イスラエルのベンチャー企業ZEROBILLBANKと共同開発した社内仮想通貨「OOIRI(オオイリ)」を運用しています。実際の運営方法や効果などをご紹介します。
OOIRI導入の大きな目的は、多くの企業にとって課題となっている社員同士のコミュニケーション活性化です。チャットツールやリモートワークの普及に伴い、社員同士が直接コミュニケーションする機会は減少しつつあります。そんな中、社員同士で感謝を伝えあったり、優秀な社員を評価したりする仕組みが必要だったのです。
働き方改革により残業を減らし、社員に健康的な働き方を広めるのもOOIRIを運用する目的の一つです。カブドットコム証券ではOOIRIの運用を開始した2016年以前から健康経営と働き方改革を進めていました。その施策の一環として、ブロックチェーン技術を応用したOOIRIコインの仕組み活用が考えられたのです。
実際にOOIRIをどのような方法で運用しているのか見ていきましょう。
カブドットコム証券はまずスマートフォンのGPS機能・Wi-Fiの位置情報を活用し、会社がある大手町周辺の社員の動きが分かるシステムを構築しました。これによって大手町周辺を「OOIRIゾーン」と名付け、社内仮想通貨が流通する地域を決めたのです。
OOIRIゾーンでの業務中、健康につながる行動や働き方をするとOOIRIコインが配布されます。例えば朝8:30までにOOIRIゾーンに入ると、朝活や早朝出社による健康効果を評価してOOIRIコインが付与されます。ノー残業デーに時間内に退出したり、1日1万歩以上歩いたりと健康的な働き方をすると、OOIRIコインを集めることができます。つい三日坊主になってしまいがちな人も、頑張るほど評価される仕組みなら続けることができそうですね。
先輩や同僚からのアドバイスに対する感謝の気持ちとして、OOIRIコインを贈るといった運用もあります。また、効率的な会議進行に貢献した社員を、OOIRIコインで評価するなどのバリエーションも考えられています。
こうして貯まったOOIRIコインは社内物販やサービスに使用できるだけでなく、会社周辺の飲食店と連携して利用できるようにする計画も立ち上がっています。
OOIRIコインによる企業が抱える課題の解決方法や、さらなる導入のバリエーションなども考えられています。
仮想通貨やブロックチェーン技術を使って何かできないか?というテーマから始まったOOIRIコインは、まず社内で小さく始めてみようという実験的なスタートでした。そのうえで実際の効果や課題を洗い出し、地域振興などに発展させるアイデアも生まれています。最新テクノロジーを活用して社員のやる気を出したり、健康などの課題を解決したりするほかにもさまざまな展開が期待できそうな取り組みです。
健康的な働き方を推進するOOIRIの仕組みは、禁煙サポートなど新たな使い方のバリエーションも想定されています。例えば禁煙を推奨する企業で働く社員が、喫煙室に入ると社内仮想通貨がマイナスされるという仕組みです。スマートフォンのQRコードで喫煙室に入室する仕組みを作れば、回避することはできません。こうしたカスタマイズ性があることで、企業のニーズに応じた設計ができる点がOOIRIコインの特徴です。様々な課題を抱える企業にとって、良いツールとなることができそうな仕組みですね。
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