リモートワークにおけるマネジメント対策

従来のオフィスワークと異なり、リモートワークではそれぞれのスタッフが常に近くにいることはありません。そのため適正に業務を進めるためには全従業員が意識的に連携を高め、組織の密度を高めていくことが必要不可欠です。

しかし人は誰かから見られていないと気を抜いてしまったり、油断してしまったりする生き物。勤務時間には業務に従事するよう、まずは上司や管理者が従業員の状態や進捗をきちんと把握しましょう。必要に応じてアドバイスやサポートをできる体制を確立することが大切です。

ただしあまりにも監視体制を厳しくすれば、今度は従業員にとって精神的な負担が大きくなってしまい、業務効率が落ちてしまうリスクもあります。

また従業員の勤務時間を会社が正しく管理できていなければ、人の目の届かないところで気を抜いてしまう社員だけでなく、通常の労働時間を大きく超えて働いてしまったり、休日にも業務をしてしまったりする社員が出てくる場合も考えられます。

リモートワークではこれまで以上にマネジメントを重視して、適正な人材管理や業務管理を進めていくことが重要です。

一口にマネジメントといっても、管理すべき対象が何であるのかによって求められる内容は異なります。そのため自分が何に対しどのような目的でマネジメントを行っているのか、どんな仕組みを整えていけば良いのかを明確にしましょう。

リモートワークを導入する上でまず必要なのは、会社としてどのような方向性でマネジメントを進めていきたいのか検討すること。

リモートワークを導入する目的や理由、求める効果をきちんと意識した上で、会社全体で意識共有することが必須です。

目的意識が明瞭に定まっていてこそ、ルール作りや運用体制の整備といった手段の確立も進められるため、最初のプランニングは欠かせません。

いざリモートワークを導入する際は、会社のルールや運用体制にマッチした制度やシステムをじっくり検討して選ぶようにしましょう。

実際にリモートワークで仕事を進める場合、基本的に各部門・部署や、管理者が率いるチームが1単位として扱われるのが一般的でしょう。そのため会社全体の方針を土台とした上で、実務面のマネジメント環境を考えなければなりません。

特に組織やチームをマネジメントする上で、リーダーとなる管理職によるマネジメントは最重要ポイントの1つです。

部署の管理職やチームのリーダーにとって、まず業務の見える化を進めることが最初のマネジメントになります。それぞれの従業員がどのような仕事をしていて、各作業がどの程度の進捗状態にあるのか、これらを正確に把握して管理できなければ、リモートワークのマネジメントは成立しません。

しかし、部下やスタッフにとって上司から監視されていると思う状況は非常に大きなストレスであり、管理職は進捗管理を適正化する一方で、従業員のメンタル面に配慮することも必要です。

管理職として一方的に従業員を管理するのでなく、普段からコミュニケーションをきちんと取って信頼関係を構築しておけば、従業員に対する確認などが同時にメンタルケアやサポートとして働いてくれる可能性が高まります。

またリラックスして話しやすい関係性を保っていれば、相談や悩み事について従業員の方から伝えやすくなり、後々のトラブル発生を未然に防げるようにもなるでしょう。さらに、同じ志を共有することで業務に対する目的意識が強化され、従業員のモチベーションアップへもつながります。

自宅や好きな場所で仕事を進められるリモートワークだからこそ、従業員としての自覚や責任感がより一層に求められるようになります。また、作業の間は気を緩めずに仕事をすることはもちろん、本来の労働時間を超えて働きすぎたり、無理をして作業を続けたりしないよう、自分の体やメンタル、コンプライアンスについてのセルフマネジメントも重要です。

特に自宅で作業をする場合、仕事とプライベートの切り替えが困難になって、延々と仕事を続けてしまう人も少なくありません。短期的には成果を上げられて良いようにも思えますが、結果的に体や心の健康を崩してしまっては意味がなく、働くべき時は働き、休むべき時は休むといった、メリハリのきいたセルフマネジメントを心がけるようにしてください。

仕事で分からないことがあったり作業につまずいてしまったりした時、速やかに相談できる相手がいれば問題を迅速に解決でき、過度なストレスをためることもないでしょう。そのため、普段から同僚や上司などとコミュニケーションを取って、気軽に話せる関係性を構築しておくことが求められます。

また、自分ばかりが他人に頼るのでなく、他の誰かに相談された時はしっかりとサポートできるように、チームの一員としての意識を高めておくことも大切です。

リモートワークにおいてマネジメントが十分に行われなければ、各スタッフの連携がおろそかになって、作業全体のスケジュール管理も難しくなります。

適正なバランスのマネジメントが実行できない場合、従業員のモチベーションが低下したり、チーム内の信頼関係が崩壊したりと、結果的に組織力が弱まってしまいます。

途中の作業を確認しにくいリモートワークでは、しばしば従業員の成果だけに注目して、業務プロセスや従業員の関係性などを見落としてしまいがちになります。

チームには目立って活躍する人がいれば、その人を支えて土台を作っている縁の下の力持ちもおり、前者ばかりに注目して後者をないがしろにすると、結果的にチームの士気が下がる状況を生んでしまうでしょう。

現在のリモートワークシステムに問題があったり、使いにくさがあったりしても、マネジメントをきちんと行えていなければ従業員からの不満やニーズを拾うことも難しくなり、業務改善のチャンスを失ってしまうリスクがあります。

マネジメントを正しく行うことで、自社にとってどのようなシステムや体制が最適なのか改めて確認できれば、業務効率向上に持繋げられるでしょう。

従業員同士が互いに感謝や賞賛を伝え、それらを報酬へと昇華させるピアボーナスの本質は、単なる金銭的メリットでなく、社内コミュニケーションの活性化による組織力の向上です。リモートワークのマネジメントを進める上で、ピアボーナス導入は環境整備に有効な一手だと言えます。

ただし最適なマネジメントシステムを考えるのと同様に、ピアボーナスについても自社のニーズや特性を反映させたものを選ばなければなりません。

マネジメントとピアボーナスは別々に考えるのでなく、会社の方向性と合わせて一体的に考えていくようにしてください。